映像コンテンツの流通をSMO的に考える

もう誰も知らないものはいないと言える存在になった動画共有サービスYoutube。クライアントとの話のなかでもずいぶんと話に出る機会が増えてきました。ただ企業としてのYoutubeの捉え方にはまだまだ疑問が残っているようです。

例えばコマーシャルフィルム。企画・撮影・編集と大きな費用を投じて作り上げたその作品が、自分のしらないうちにYoutubeに掲載されていたら、どう思いますか?

  1. 許せない。問題になる前に…と、即刻削除を依頼する。
  2. そんな事いってもしょうがないとあきらめて、放っておく。
  3. おぉ、どんどんやってくれ!と、もっと露出を高める方法を考える。

私だったら3番を迷わず選択します。単純には言い切れませんが、プロモーションの手段として作成されたCFなわけですから、それがどこで流れようが、目的を達成するために自分でひとりでに歩き出してくれている、と思うからです。しかしながら1や2のように考える方がまだ多いようです。企業はマイナスな側面にはずいぶん敏感で、さらにありもしない事まで想像したりします。

過去に何度かSMO(ソーシャルメディア最適化)やCGM(カスタマージェネレイティドメディア)について書いてきましたが、今回も同様。私が伝えようとしているのは、SMOやCGMを利用して自社のコンテンツの到達性をどうあげていくことができるのかという点です。そう、急速に変化する状況に、考え方も追いついていかなければなりません。柔軟にかつ能動的に。

CF以外にも例えば自社製品のプロモーション映像、会社のイメージビデオ、物件映像やプレゼン、採用活動などでのOBメッセージビデオなどなど…。企業が常日頃つかっている映像コンテンツなども探せばいろいろはるはず。そうした映像コンテンツをサイト上に掲載されていますか?もし映像コンテンツをお持ちでありながら何もしていないのであれば、自社サイトへの掲載はもちろんYoutubeなどの映像共有サイトへもどんどん登録してもいいと思います。もしサイト上に映像をのせているのであれば、すぐにでもエンベットタグを表示するなど、流通を促す措置を講ずるべきです。

例えば採用活動の会社説明会でイメージビデオを流しているとします。すごく反応がよく、学生たちの間で「あれを見ると心が動かされる」などと噂になれば、掲示板等の採用コミュニティやブログなどで話題にあげてくれるでしょう。イメージビデオが彼らの書き込みにくっついていたら、コンテンツのあるいは会社のメッセージの到達性はどんどん広がっていくと思いませんか?

ひねくれていない人でも「それがうちの欲しい人材を連れてくる要因になるとは限らない!」などと言うかもしれませんね。しかし真の目的にどうつなげていくかではなくていいんです。即効性や数字ではかれるものを意識する部分ではなく、会社としてのメッセージを多くの人に見てもらうことが、長期的視野でみた企業理解の促進やファンづくりにつながってくる事こそが、CGM上の情報流通にコンテンツをのせていく事の効果だからです。

5年後10年後、採用活動の時に見たビデオがきっかけで経験者採用として優秀な人材が入社してくるかもしれません。地元の企業なのに何をやっているか知らなかった地域住民が、「あの会社とってもいい会社なんだよ」と誇ってくれるかもしれません。

広がる先は採用活動中の学生さんだけとは限らないのが、CGMを介したコンテンツの流通・共有の面白いところです。こうしたCGMの特徴にいち早く気付き対応できているところはまだまだ少ないようです。だからこそ今チャンスだと思うんですが…。

事例に学ぶSMOとその倫理感(SMOスパム)

はてなブックマークにおいて、安江工務店さんのサイトに対して、社員と思われる人からのブックマーク登録が異常に多いため、他会員からスパムでは?という反応がすごいようです。

煩悩是道場
さんがこの件に関し、直接安江工務店さんとやり取りをした経緯を記事にされています。ここで内容を抜粋することは関係者様たちにとって有益とは思えないので、是非記事全文を読んでいただければと思います。


煩悩是道場 – 安江工務店さんにメールを書いてみた。

SEOが一気に取りざたされる様になったとき、同じように倫理観を無視したテクニックが横行したことを思い出しはしませんでしょうか?
もちろん今もカタチを変えながら行われていますけど。安江工務店さんにはその狙いは無かったわけですが、多くの人の目に付くためのスパム行為が、ソーシャルメディアの中で行われていることも事実でしょう。

はてなブックマークのようなソーシャルブックマーク、あるいは他のCGMもそうですが、ソーシャルメディアの生み出す情報は、基本的には一般の大衆、そしてクチコミのように人の主観の入った評価によって、その信憑性や信頼性が生まれるものです。しかしながらこうしたソーシャルメディアサイトでは、簡単にアカウントを取得でき、多くの人の目に付くためのスパム行為が簡単に出来てしまいます。

人を集め情報を集めなければ、サイトの価値も情報の価値も上がりませんが、垣根を下げれば下げるだけスパムが横行しやすくなるという、サービス提供者としては非常に苦しいジレンマの状態にあるように思います。

この記事を書いている時点では、はてなさんの対応も遅れているようです。もともとあった問題ですが、ソーシャルメディアの重要性が高まりSMOが一般化しつつある今、ルールの抜け道を付くようなSMOスパムとの戦いも、本格化してきたな、という感覚を覚えます。

「倫理的に良くない」ことを行っても、やったもん勝ちな結果が出てしまうこの状況は、あまり長く続いて欲しくないですから…。

やってはいけないSMOスパム…そのうちまとめてみたいもんですが、今こんな記事を書くと「まだ罰せられずに出来る!」と思うような人がいると思うので書けませんけど。法の抜け道を考える弁護士みたいに考えては危険です。ウェブ担当者は倫理感をもってSMOと付き合っていかなくてはなりません。

着実なSMO重要視への流れ

昨日6月12日、Yahoo!検索結果に、Yahoo!ブックマーク利用者によるブックマーク登録者数表示機能が追加されました。SEOによる検索順位上位表示だけでは表すことのできない、サイトやページの価値を明示する流れがここにも見えます。

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上の画像のマーカーを引っ張ったところが該当部分です。現在このページをブックマークしているユーザがどれだけいるのかを表示しているわけです。昨日始まったばかりの事なので、まだ気付いていなかった人も多いのではと思いますが、これから徐々に浸透するにつれ、検索順位だけではわからないサイトの信憑性の高めてくれる補助的要素になってくるだろうと思います。

もちろんマーカー部分のリンクをクリックすると、「○○人が登録」という数値による客観的な視点だけでなく、どういうユーザーがブックマークしているのか、またそのページに対するコメント、あるいはブログ記事まで、ユーザの主観を含めた面も覗き見ることが出来るようになっています。

自分のサイトが全く誰にも見向きもされないサイトになってしまわないか?と、不安に駆られる時代になってきました。小手先のSEOなんかやめて、今すぐサイトコンテンツの充実に心血を注いでいくべきですね…。

メリット、デメリットを世相から知るサイト

あるものやことのメリットデメリットをみんなでまとめていくサイト“メリットデメリット”。単なるアンケートサイトとは表現できない、新しい趣旨のCGMの誕生でしょうか。

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タイトルが示すとおりの趣旨。とにかくシンプルなコンセプトとユーザインターフェースで、非常に気軽に参加できるつくりになっています。というか、いつの間にか○ボタンを押してしまっている 😯 ユーザを自然に招き入れているところがすばらしいですね。

確かにアンケートっぽい趣旨ではあるけれど、母数がどうだとかそういった部分はあまり気にならずに、「なるほど~、みんなそこがツボなんだぁ。。。」と思ってしまう。(ただもちろんスタートしたばかりなので、どんどんみんなが答えていかないと、ですけど・・・)

こんなにもシンプルなのに、主観性と客観性がバランスよく共存している感じがします。
練りこまれてますねぇ。

これからどんどん参加投票が進むと同時に、確実にユーザの意思決定のための重要な指標になってくるはず。ぱっと見、事象に関する大衆の視点を知ることにとどまっているように見えますけど、作者は収益性までもすでに見えているのかも知れませんね。サービスという事だとすでにどんどん投稿されてきていますし。

企業(商品やサービス提供者)としても軽視できないサイトに育つかも知れませんね。もしあなたが新商品やサービスの販促担当だったら、メリットはいくつも語れるように用意しておきますよね。営業トーク、プレゼンのポイント!なんだかそれと同じ気がしますし、その真価が問われるという点においては価格コムとも少し似ている気がしますけど…。

企業のCGMとのかかわり方はどんどん複雑化してきています。

SMO(ソーシャルメディア最適化)とは?

CGM(Consumer Generated Media):消費者の造り出すメディアの話は、WEB2.0のお話のときに少しだけさせていただきましたが覚えてますか?

そう、SNS(mixiなどに代表されるソーシャルネットワークサービス)、SBM(はてなブックマークのようなソーシャルブックマークサービス)といった消費者が中心となって、情報を発信したり、情報共有できるコミュニティにおいて影響力をもっていくメディアのことです。wikipediafrickrYoutubeなども当然あてはまると思います。

これらを総称して今はソーシャルメディアと呼んているようです。

これらソーシャルメディアの影響力は日に日に増大しています。それは自分の行動を省みると、実感としてご理解いただけるのではと思いますが、例えば皆さんが何かのサービスを探しているとき、検索エンジンのランキングに満足できていますか?過度なSEOによって上位表示したページなどを繰り返し見させられると、嫌気がさしてきませんか?もっとスピーディに目的の情報にたどり着くためには、別のアプローチを考えるのは当然のことです。

それを実現してくれるのがソーシャルメディアです。すでに多くの方が私と同様にこうしたメディアを無意識のうちに利用していると思います。

また消費者の集まる大きなサイトでなく個人であっても、検索エンジンより信憑性が高いとあがめられ、強大影響力を持っている場合があったりと、個人ブログとその関連性のあるつながりも、大きなソーシャルメディアとみなすことが出来ると思います。

我々がこの動向に何を見るかですが、もうSEOだけではダメですよ、ということです。SEO自体テクニックに走るようなものは好ましくなく、とにかく優良なコンテンツをたくさん発信することが基本です。そしてその情報を消費者がきちんと消化し評価してくれたかどうかが、とても重要になってくるということなのです。

ソーシャルメディアの発達によって、皆さんのサイトの価値は上昇するのか。良くも悪くもそれは加速度的に広がっていくと私は予想しています。良い情報を発信するサイトは、当然ソーシャルメディアに取り上げられる数も増えます。そうなるとトラフィックの増大はもちろん、被リンクも増大します。しかも信憑性の高い優良サイトからのもの。つまり、ソーシャルメディアとSEOも非常に深い関連性があるといえるのです。

ウェブスカウターなるサービスはまさにこの考え方と同じことを、サービスとして提供してくれるものです。今あなたのサイトのもつ影響力はどの程度か?調べてみるのも面白いと思いますよ。

わが社のスカウター戦闘力:スカウター : インターネットコンサルティング - BCOOL

BCOOL THEMEの戦闘力:スカウター : XOOPS デザインテーマ - BCOOL THEME

SMOソーシャルメディア最適化関連の情報

AIDMAじゃなくってAISASって?

先日ある場面において、久しぶりにAIDMAというコトバが出てきたので、今日はインターネットの普及によって広告や販促、営業の定説も変化してきているというお話を。

AIDMAは別にマーケティングに精通している人でなくともご存知の人は多いと思いますが、一応おさらいしておきます。

  1. Attention(注意)
  2. Interest(興味)
  3. Desire(欲求)
  4. Memory(記憶)
  5. Action(行動)
  6. ( Satisfaction(満足))

私はリーマン時代、T社のS氏によってこの流れに応じて何をどう投入していくかを埋め込まれたことをよ~く覚えています(その節は大変お世話になりました 🙂 )。それもあって、以後どんな広告キャンペーンをプランニングをする際も、ツールをつくる際も、消費者行動とのミートポイントやグローアップフォローまで一貫して考えるようになれたのですが、実は今コレが着実に変化してきています。(ま、もちろん全ての業界がそうなっているわけではありません)

昨今のテレビCMを見ていますと明確なのですが、「○○で検索!」で終わるものが極端に多くはないですか?紙面広告でもパンフレットでも。そうですAttention -> Interestの後には、Search(検索)がきていますね。

さらにそれだけでは終わりません。あなたがもしTVCM→検索としたら、CM商品サイトだけにとどまらず、ECサイト上でのレビューや価格コムコミュニティやら個人のブログで体験レポートなどを真剣に見て検討するのでは?
そうですつまりすでに商品購入している人や同じ検討段階にいる消費者による情報共有(Share)が行われているのです。

  1. Attention
  2. Interest
  3. Search(検索)
  4. Action
  5. Share(情報共有)

情報共有はいわばクチコミですから、もちろん今までもすくなからずあったとは思います。ただネットの普及が、クチコミの広がりを加速させ、決して無視できない必要不可欠な要素にのし上げてしまったといえます。

ネット業界に身をおく人間としては、ロングテールという考え方を大切にしたいので、Shareのその先にもExtra Interest(更なる興味喚起)を加えてもいいかなぁ?と思ったりもします。

いずれにせよ、広告や販促にかかわる人間としては、ネット活用の重要性が増大した時代であることを認識して欲しいと思います。この勢いは今後ますます加速するはずですから…。