ホームページ制作費と運用費のお話

先日ブログ記事を書いていて、数年前にあったある社長さんとの商談のやり取りを思い出しましたので、その時の話を少しだけ。

この社長さんとお会いするきっかけは共通の会計事務所さんから「ホームページのリニューアルを考えている会社さんが有るんですけど、どうですか?」とのご紹介でした。

そのある社長さん、リニューアルしたいという話だったはずなんですけど、いきなり

「ホームページなんてろくなもんじゃねえ!金掛けていいのつくってもらったって、全然仕事になんねぇよ。」

と…。あはは〜^^;交渉の先制パンチってやつかしらんwwwと思ったのをよく覚えてます。

それを受けてどんな話しようかなぁと思った時、この社長さんが商談の冒頭で社員さんの成長っぷりを褒めていたなぁ〜と思って

「そういえばさっき褒めてらっしゃった社員さん、いきなり今の様な凄い働きっぷりだった訳ではなかったんだと思いますけど、どんな風に育成されていったんですか?何かきっかけになるような仕事や役割とかあったんですかね?
そうりゃそうだよ。もちろん時間はかかったけど、素直だったから、仕事教えるたびにどんどん吸収していったよね。俺の教え方がうまかったんだろうけどーがーっはっはwww
ですよね〜やっぱり(ニマ)

ホームページも同じで、その彼に例えれば公開日が入社日みたいなもんですよ。

仕事をやり始めて、初めてお客さんと触れ合い、その様子を見ては、社長さんや周りの社員さんたちが「そういうときはこうすればいいよ〜」って教えていきますよね。

そんな風にホームページの働きっぷり(アクセス解析)を見てますか?

え!?どういうこと???
(Google analyticsを見せつつ)チラシとかCMとかのプロモーションツールって、その実績がどうなのかって推し測るのは難しいじゃないですか。でもウェブサイトはデータをこんな感じに明確に見て取れるんですよ。

何か狙いをもって新しい情報を載せる、デザイン・レイアウトを変えてみる、ページナビゲーションを変えてみる、問い合わせのボタンの配置方法を変えるとか、やった施策の結果がどんな風に影響が出てきてるのか、数字でちゃんと見える。

げぇ〜、怖っ!こんなの分かるの?俺の行動も見られてるのかな???
そうですよー社長、だから会社のパソコンで変なサイト見ちゃダメですよwww
(沈黙・・・)
まぁ、それは冗談として、ホームページへいらっしゃったお客様の状況も、サイトのどのページがどれだけ働いているか、こんな風に確認出来るので、じゃぁ次はこんなことしたらどうだろうって考えも見つけやすい。

普段の営業活動でも生産活動でも、もっと良くするためにって新人を育てるのと同じで、ウェブサイトでも初めはやっぱりうまくいかなければ、効率的に働いてもらうために、こうした数字をみながら、手を入れていくんです。

制作会社がみなこぞって「ホームページは公開してからがスタートです!」と言うはそいういう意味なんですよ。

そういう考えは知らなかったなぁ。。。
飲食店さんとかの例だともっと理解しやすいかもしれませんね。新しく店舗オープンしたって、いきなりお客さん増えないじゃないですか。

地域で告知活動いっぱいして、来店してもらって、接客して、覚えてもらって、再来店していただくために毎日試行錯誤して、開店当初に想定していたものより、お客様のニーズに合わせてメニューも変えたり、あるいは営業スタイル・営業時間だって変えて…それでも集客安定するわけじゃないから、常連さんつくるために日替わりメニュー考えて、季節メニュー考えたり飾り付けしたり、イベントしたり、ポイントカードつくったり…。

目的に合うかたちに、ちゃんと手を入れて(運用)いかないと、そりゃ求める結果にはなかなか行き着けるもんじゃないんですよ、ホームページも。

中小企業では、ホームページを公開すると、その達成感に浸ってしまい運用がないがしろになってしまうケースがまだまだ多いようです。どこどこの制作会社に依頼して作ってもらうと凄いいいものが出来る、みたいな考え方ももちろんありますけど、重要なのは発注者(社)が、公開後にどのような運営体制を準備し、実践していくか、しっかりとした考え方を持っておくことです。

そんなやり取りから、現在のサイトの既存コンテンツを確認し改善すべき部分の検証を行い、今回のリニューアルでやり遂げたい目的、社内での運用体制づくりの模索、その他プロモーション活動のことなどヒアリングしつつ、骨子となるサイトコンセプトやページ構造、更新性をもたらすことのできるコンテンツ施策などをざっと出すのがBCOOLのヒアリングスタイル。

で、高橋くんのところでやるとなると、どんだけかかるの?
今話した内容はイニシャル概算で、○○万、運用は年間で○○万くらいは予算確保する覚悟が必要でしょうね。」
え!!!???前の業者より高いじゃん!
社長!前に創ったサイトで失敗したんでどうにかしたいというご相談ですよね?

掛けた金額じゃなくて、中身もその後の運用の事もちゃんと考えてないから失敗してる自覚されてますよね。

安い業者が悪いとは言わないですよ、社長が明確に采配奮って、きっちり指示出して、目的達成出来るのであれば。

でも社長の場合、すぐそばで考え方を整理して、ちゃんと戦略立ててホームページづくりを進行させていく役割の人間が必要で、そうじゃないとまた同じような金額の業者に金額だけで仕事発注してまた何にもリターンない…って成りますよ、多分^^;

社長のビジネスなら、1年目で2件でも新規のお客様獲得出来たらもうプラスじゃないですか!?

社長さん「そりゃそうだwww

君、面白い事言うね!

よーしわかった高橋くんとこでやろう!

あざーっす!!

コスト意識はほんとに重要だと思います。でもそれは費用対効果基準での話。金額以外の要素としての具体的な提案内容、デザイン性、システムの使い勝手、運用サポート体制、セキュリティ面などのトータルでの判断が難しいようであれば、ずばり運用サポート体制がまっとうなところとおつきあいすることをおすすめします。

業者選定の際、金額を最優先で比べる慣習が強い、そんな風土の企業・団体さんもたくさんいらっしゃいますが、イニシャルのコストはある程度買い物感覚で予算割けるのに、運用コストは掛けたくないというのは、どういう目的に向かってサイトを作って運用するんだろう感じます。

運用を一番に考えないと、持続的にウェブが働き続けていくことが出来ないことを理解できないはずはないですよね?

ちなみにこのお話、もちろん実話です。(ただ随分前の事過ぎて記憶が薄れているのと、書いている勢いでストーリー性もたせて一部脚色していますことをご了承ください^^;こちらの社長さん、今も社長のIT家庭教師的なお仕事でお手伝いさせていただいております。)

うちの社長にウェブサイト運用の重要性や考え方を伝えて欲しい!という方いらっしゃいましたら、是非当方までご連絡ください。

サイト開設後の運用の重大さは、人材採用後の育成と同じ

まだまだウェブ活用に関するスキルが低い中小企業ですが、先日「あぁ…あれと同じだなぁ…。」と思い出した話を。

採用する時は「この人材めっちゃいいかも!」と採用してみたんだけど、結局そんないい人材じゃなくてさ…

というような採用のミスマッチに関する話題を先日聞く機会がありました。

しかし最近の自分の思考では、「そういうのは簡単だけど、殆どの場合その個人の問題ではなくて、採用後の育成の失敗なんだろうな…」と考えてしまいます。(一緒に聴いてた人は、試用期間だって解雇通告は必要だから早めにあれだよ、あのー、あれだよ!」と全然角度の違うこと言ってましたがwww)

企業の採用活動って、募集してきてくれた方の採用可否の判断を下した時点で成功か否かが決まることじゃなくて、縁あって入社した従業員さん、入社後にその人にとってその会社にとっていい状況を、お互いで創っていく事がまず最初の仕事ですよね。

自分ももちろんこういう失敗を何度かしていて、せっかく来ていただいた人をうまく引き止められず離職につながってしまったことがありますが、多くの場合、入社後すぐにその方が職場に溶け込み、徐々に仕事を覚え、いよいよ実力を発揮できるよう、うまく順序立ててケアできなかったんだと反省します。

だからまた新たに採用を行った時は、「今度こそは!」と意気込みますが、そこはやはり人間、性格・個性・その時点でのスキルなどなど…要素が多岐に渡り、これが正解というものはなかなか体系立ててつくれずに、毎回試行錯誤を重ねることになります。全然まだまだですね、自分–;

人材は採用後の育成が大事。
ウェブサイトも公開後の運用が大事。

でもこれが出来ている会社組織はほんとに強い。「優秀な人材を見つけ採用しよう」じゃなく、自社にふさわしいと思える人材像があってそれに近い人材を採用し、お互いが幸せになれるよう柔軟にサポート・教育していく。

企業の強さって、この人材教育に関する要素がものすごく大きいなと、自分の情けなさとともに今改めて感じるのです。

中小企業のウェブ活用はまだまだうまく行っていないようだとは冒頭で書きましたが、

例えば、

  • ホームページにどんな役割を持たせるのか?から始まり、
  • 今年中に月間○件の新規受注をウェブ経由で出来るようにしよう
  • 今期末までに製品情報発信のためのシステムを組み入れよう
  • 来期までにサポート部門を軽減させるためにウェブマニュアルを作ろう
  • ウェブコンテンツ増強のために既存のお客様にアンケートを実施しよう

などなど、人材育成と同じように、具体的に自社サイトの成長工程をイメージし、施策への落とし込みまでやられているケースはまず見られません。

中小企業のウェブ活用についてはほとんどの場合、社長さんや次期経営者の方が自ら指揮をとりながら、あるいは本業となる職務を持った社員さんが自社ウェブサイトも兼任で担当する、などが当たり前ですよね。

忙しい傍らでやってるからできなくてもしょうがないですよね。そうですよね…。

いやいや、そんなこと無いですって^^;;

手をかけてあげなければ、実力発揮できませんよ。

まとめ:よく働く良いウェブサイトに育成するために

ホームページの新規制作やリニューアル(改修)は、明確なコンセプトの策定とそれに基づく行動(運用)をしっかりとイメージした云わば「自社にとってふさわしい人材像を模索する作業」です。

これまで業者まかせで全く効果の出なかったホームページ、しっかり働く人財のように、ちゃんと育てていきましょう。

自分は人材教育のプロではないけれども、ウェブサイトの運用に関しては、目的・役割など戦略策定(コンセプトメイキング)、成長過程を具体化し(集客性や接客性の向上のための施策設計)、いい状態で働き続けるためのケア(運用施策・環境変化への対応など)は、長年の経験の中でずいぶんと体系的なものを持ち合わせていると思います。

もちろんお客様業界それぞれで、こうやるべきという内容は異なりますから、ベースとなるものはあっても、あなたの会社そのものを理解し、ウェブという場所をどの様に活用することで、事業に対してのインパクトを与えることのできるか、それぞれでしかお話できない部分、自分の会社ならどんな体制で臨むべきか、是非一度ご相談ください。

と、これを書いている途中で、ある案件受注時のやり取りを思い出したので、別の機会に書いてみようと思います。

お客様と一緒にいる時間の使い方一つひとつで全体の進行スピードが大きく変わる

コーポレートサイトをお手伝いする際、会社や付随設備の外観はもちろん、お客様の事務所内、工場内などを撮影することも多いのですが、ロケハンの際、お客様の業種や社風、強みなどを表すことの出来るヴィジュアルポイントは何処かにないか?と常に目線を動かしている自分がいます。

こちらの企業様はアルミ押出成形を主業務にされている製造業だったのですが、工場内を見学させていただいていると、

アルミの素材感て、こういう光の捉え方すれば、カッコイイ表現できそうですよね

と、その場でかっこよく光の入る位置を見つけてパシャっと撮ってみた写真を社長様にお見せすると

おぉ!これが自分ちの工場内で撮った写真だとは思えないよ〜!

と随分と喜んでいただいたり。

ディレクションツールとしてデジタルカメラの重要性をとても感じている次第であります。

こんな風にさささっと撮って、打ち合わせルームに戻って、引っ張りたい方向性に現像掛けて、コピーをちょっと載せて見せるだけで、

いい感じ!こんな感じで進めてって〜!

と言ってもらえるわけで。

細かいヒアリングしてデザインカンプおこして、進めたい方向性を初めて見せるっていう流れよりも、よっぽど効率的かつ、お客様も楽しんでもらえる。

お客様と一緒にいる時間の使い方一つひとつで全体の進行スピードが大きく変わるんだということを強く意識するこの頃です。

ウェブサイトで使い易いイメージカットの特徴

最近様々なフォトストックサイトで高品質な素材がたくさんあるので、撮影せずにこうした素材を購入することも増えてきたのですが、ウェブデザインで使い勝手のよい素材撮影の得意なカメラマンさんを探してます。

ここまでウェブがメインになった時代、ウェブデザインの特性や、ウェブデザイナーの需要に応える高品位素材に特化した方がいたら大人気になると思うのです。

コンテンツ本編で説明のためのカットの多く(カクハンで使うような写真)は、印刷物のデザインとさほど大差はないのですが、サイトやページの雰囲気出すためのサブヴィジュアルとして使うカットでは、写真1枚そのものの完成度よりも、他の構成要素との兼ね合いで、ストーリー性を感じさせるフォーカスポイントや、タイトルやコピーの載る余白、その向き、さらにウェブ特有の極端に横に長いアスペクト比での使われ方にも耐えうる素材が欲しいというのがウェブデザイナーがいつも感じるところだと思います。

ウェブデザインで使いやすいのはとにかく「余白が大きくとられた素材(特に左右余白)」なんです。

トップページのメインヴィジュアルの様にきっちり絵作りしてから撮影に臨めるのであればいいのですが、多くの場合、原稿構成と同時進行だったり、様々な制約があったりで、そこまで決めきれずに撮影の日程が来てしまい、カメラマンさんに、「これこれこういう感じで使いたいので左右余白大きくとったカットも撮っておいてください!」とお願いする事があるのですが、何度もお願いしている方でも、その依頼に対してバッチリ応えてくれてる〜ぅ!と思えるものはなかなかないのが正直なところです。

もちろんカメラマンさんたちは、とてもクリエイティブな人たちで、たくさん引き出しもってますから、あんまりこちらから注文出し過ぎちゃうのも失礼にあたりますし、ざっくりとお願いする方が自分の発想にはなかった良いものになるなと信じてます。

ただこのウェブ独特の横長アスペクト比のイメージ素材の場合だけは、難しい。

やっぱりカメラマンの性として、ファインダーの中でなんかバランス悪いな…かっこ悪いな…と感じる構図ではシャッター切りたくないんだろうと思います。

そりゃそうですよね。実際につくるサイトの様々な構成要素を頭のなかで配置して、写真素材の活かし方、レイアウトをイメージ出来るのはそれらを把握できていない状態では撮りようがないですよね。

さらにここ数年はレスポンシブウェブデザインが主流ですから、各デバイスでの見え方まで踏まえ、写真素材の配置(特にフォーカスポイント)も頭のなかできっちり想像出来てないと…という、めちゃめちゃ頭を働かせないとという状況になってきましたし。

こんな場面を何度も経験する中、フォトディレクションの経験値も上がってきたとは思いますが、もろもろ諸事情考慮してい辿り着いたやり方が、カメラマンさんにはメインとなるものをバッチリ撮っていただき、イメージ素材用の写真は自分で撮ってしまえと。サイト構成の中で使いたいと事前に考えている場所はもちろん、数カット準備しておくことにしています。(というわけで15年ほど前からお小遣いはほぼレンズ代に消えていくという宿命を背負ってしまいました^^;)

縦:横/1:3とか1:4とか1:5とかのファインダースクリーンでエリア外がオーバーレイ(ダークアウト)してくれたり、ダミーコピー配置がその場でできるデザイン業務用カメラ創りたいなぁ…なんて思いますわ。(その辺、スマホアプリは柔軟で自由な考え方でどんどん進化しとりますよね。)

そうそう話を本題に戻しまして、写真ライブラリーサイトにもそういう使い勝手の良い写真はなかなか無い(T_T) あとちょっとを合成で作ったり、レイアウト処理で逃げるっていう場面の多いこと多いことwww

ウェブサイトデザインに特化した素材写真、需要はけっこうあると思います。

クリエイティブなカメラマンさんたち、メインの1枚成立カット以外にも、左右余白思いっきり空けたハネポジになる運命だったその1枚が我々ウェブデザイナーが欲している写真かもしれません。

早朝の群馬県庁

群馬県庁舎

いつもカメラマンさんから、完璧な気持ち良い写真をいただくことへの感謝、構造物と対峙するとより強く感じるわけであります。